2007年11月9日金曜日

Interview with - セリーヌ・ディオン

世界を代表するディーヴァ、セリーヌ・ディオンがワールドツアーに向けて、アルバム『テイキング・チャンセズ』を完成させた。セリーヌといえば、映画『タイタニック』の主題歌「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」や、日本のTVドラマ『恋人よ』に使われた「トゥ・ラヴ・ユー・モア」といった、ラブバラードの女王として知られるが、今回はNe-Yo、リンダ・ペリー、ベン・ムーディといった、意外な面々が参加している。さっそく、新たな意気込みで制作した新作について聞いた。


■シングル「テイキング・チャンセズ」を歌うようになったきっかけは?

セリーヌ:本当に美しい曲で、歌わないかとオファーを受けた曲なの。25年のキャリアの中でオファーを受ける曲は、いつ も決まってバラードだから、とても嬉しかったわ。バラードは大好きだけど、過去のどのアルバムにも、私はアップリフトな曲をせめて2曲は入れたかった。で も、いつの間にかバラードシンガーというイメージがついてしまって、なかなかそういう曲をもらうことができなかったのよ。


■そういえば、今回はベン・ムーディ(元エヴァネッセンス、アヴリル・ラヴィーンなどに曲提供)や、リンダ・ペリー(P!NK、クリスティーナ・アギレラなどをプロデュース)が参加していますね?

セリーヌ:そうなの。今回はアルバム全体が、少しエッジを効かせたものになりつつあって“ワーオ!”って驚きを隠せな かったわ。カバー曲でもハートの「アローン」を取り上げているけど、子供の頃から大好きな曲だったし、ロックを歌う要素は常に自分の中にあったの。突然新 しいアーティストに生まれ変わった、というわけでも考えを変えたわけでもないのよ(笑)。ただそういう機会に恵まれなかったの。それが今回、素晴らしいタ イミングで巡ってきたわけ。


■R&B界からはNe-Yoも参加していますね? これはあなたからのリクエストですか?

セリーヌ:私からのリクエストじゃないわ。今まで人生の中で、私から何かリクエストしたことなんて…、ほとんどないと思 う。忙しすぎて今までそんな時間はなかったから! でも、私からのリクエストではないけど、今回は1000曲近い曲が送られてきたから、その中で素晴らし い曲を選んだだけなの。


■ではその中で、今まで感じたことのない感情を、思い起こさせた曲はありますか?

セリーヌ:「ザッツ・ジャスト・ザ・ウーマン・イン・ミー」ね。実はずいぶん前にオファーを受けた曲だったの。ものすご く気に入っていたけど、既に映画の主題歌といったバラードシンガーのイメージが私にはあって、いつもその時のアルバムのコンセプトから離れすぎているか らって、収録することができなかった。でも、今回は歌うことができて最高だったわ。


■どんな感じで歌ったのですか?

セリーヌ:私が出した叫び声は、どうやったらあんな声が出せたのか、わからないほどのものだったわ(笑)。汗が出るほど の厳しいワークアウトで、最高にワイルドなもので、テクニックもなければ、歌い方を忘れてしまったと思えるほど。それに、痛みを感じるほどだったわ。ボー カル的なところではなくて、曲全体の魂と気持ちという面でね。歌い終わった後、ものすごい疲れに襲われて、エネルギーを吸いとられたようだったし。…た だ、ものすごく嬉しかったの。この曲は、これまでのセリーヌ・ディオンに歌えた曲ではなかったから。ジャニス・ジョップリンのように、テクニックなどな く、自分の魂に手を突っ込んで奮い起こして外に出す、とでも言うのかしら。魂が顕わになったのよ。


■他にも思い入れの強い曲はありますか?

セリーヌ:どの曲もそうだけど、「ア・ソング・フォー・ユー」という素晴らしい曲を、素晴らしいピアニストと生演奏で録 音したことかしら。私は小さなレコーディングブースにいて、隣の大きな部屋でピアノを録音していたの。彼が弾き始めたら、ピアノの息使いが聞こえた。それ を聞いた時、とても嬉しくなって「これこれ! 昔、同時録音をしていた頃は、みんなこんな感じだったわ! これほど素晴らしい事はないわ! 」と思ったの。私の時代は曲が出来上がってから、歌入れをするのが当たり前だったから。同時録音を始めた時、自分の吐息がマイク越しに聞こえるから、ピア ノの息使いを聞くためにマイクから少し離れたわ。でもそのお陰で、最高なムードで歌えたのよ。


■約5年の間、お子さんがまだ小さいこともあって、ラスベガスに移住して、ここでショウを展開しながら、家族としての生活を充実させてきたわけですが、この5年間で、どんな面が一番成長したと思いますか?

セリーヌ:公演と直接関係はないけれど、この5年間、何よりも母親として成長したわね。息子の誕生日を、公演が始まって 以来5回もお祝いしているの。だから母親としての責任を、果たせる機会に恵まれたわ。家に毎日いて、ホームスクーリングを受けさせ、安定した生活を送り、 1歳、2歳、3歳という年齢であるうちに、母親らしいことがしてあげられた上に、公演にも出演し続けられたことは、両世界(プライベートと仕事)を存分に 満喫することができたと思う。キャストの素晴らしい人たちと巡りあえたし…。この5年は本当にろいろあったわ。3年前に父親が亡くなったこともあるけど、 意味のある旅になったわ。


■来年2月から予定されているワールドツアーはどんな感じになりますか?

セリーヌ:ドカン! と大きいことをやりたいわ(笑)。ジェイミー・キング(マドンナのステージで有名)がステージ監修 をするの。ライブ自体はもっとモダンな感じになる予定だわ。ロックまではいかないけど、エッジを利かせる感じ。とにかく大きなステージよ。うーん…言い過 ぎない程度にどこまで言えばいいのかしら(笑)。ダンサーを8名連れて行くわ。はじめは「ダンサーはちょっと…」って感じだったんだけど、結局連れて行く ことにしたの。あと17年間ずっと一緒のバンドも同行するわ!