2007年11月4日日曜日

Interview with - the brilliant green

「ストレートに音楽を楽しんだ」と語ったアルバム『THE WINTER ALBUM』を発表後、なぜかリリースが途絶えたまま、気がつけば4年半。その間、TommyはTommy february6、Tommy heavenly6、松井亮はmeisterとしてソロプロジェクトを展開。そのおかげでthe brilliant green本体不在の過剰な寂しさは免れていたものの、久々の新曲『Stand by me』を聴くと、やはり“待ってました感”が込み上げてくる。3人が活動休止を経てたどり着いた境地、再始動への意欲に満ちたキラーチューンに込めた思いとは……?


■気がつけば『THE WINTER ALBUM』をリリースしてから、もう4年半ですね。活動を休止した理由は何だったんですか?

奥田:特に活動休止というわけじゃなかったんですよね。

Tommy:そう。流れに身を任せていました。『THE WINTER ALBUM』のときは“5周年”、でもそのあとに(Tommy february6に)タイアップの話が来たのでソロを再開することになりました。私はソロをもっとやりたかった時期だったので、すごくうれしかったなぁ。“これもやりたい、あれもやりたい”で、そのままずるずると……みたいな感じで、気がつけば“10周年”。ビックリです。

松井:自然な流れなんですよね、全部。何かを我慢したわけでもないし。だから僕も何かできることないかなって、いろいろやってたんですけど。3人ともそういう時期だったんですよ。自由にやる時期っていうか。

Tommy:バンドを避けていたからソロをやってたっていうわけでもなかったしね。


■確かにthe brilliant green本体は休止中でも、みなさん忙しそうでしたよね。TommyはTommy february6とTommy heavenly6、奥田さんはそれらふたつのプロジェクトのプロデュース、松井さんもmeisterで活動なさっていて。

Tommy:私は“忙しい”っていう感覚はそんなになかったんですけどね。

奥田:僕はもう、ずーっと家にこもって作ってた感じでしたね。Tommy february6もTommy heavenly6もレコーディングから編集まで、ほぼひとりでやってたんで。その流れのまま気がつけば4年半(笑)。

松井:僕は楽しませてもらいました。いろんなボーカリストを迎えて歌ってもらったことで、あらためて気づいたこともあるし。


■気づいたこと?

松井:生まれ持った声質って強いんだなぁとか。


■声質……ですか?

松井:うん。meisterで歌ってくれた人、みなさん良かったんですよ。良かったんやけど……どう言うたらいいんかなぁ?

Tommy:どうやら私を立ててくれてるみたいですよ。


■Tommyの声の魅力を再確認したと。

松井:いや、まぁ、そういうことです(照れ笑い)。

Tommy:うれしいことです(笑)。


■それはソロ活動の成果のひとつですよね。the brilliant greenを客観的に見ることができたという。ほかに、ソロ活動を経たことで、the brilliant greenに対する思いや、バンドとしてのビジョンに変化はありました?

Tommy:“the brilliant green”という聖域を侵しちゃいけないんだな、っていうのは思いましたね。バンドだけやってるころはやっぱり、自分のなかのブームとか、そのときにやりたいことを出していきたいと思うんですけど、それをやっていくとバンドがどんどん姿を変えていくじゃないですか。長く続けていると違うこともしたくなるし。でもそうじゃなくて、遊びたくなったら外でやる、ソロでやるのがいちばんいいなぁと。the brilliant greenはthe brilliant greenとしてのスタンダードを追求したり、守っていく方向がいいんじゃないかなと、久々に3人で話し合いましたね。


■“らしさ”にこだわる、ということですよね。そう思った理由は?

Tommy:待っててくれた人に対して……ですね。待っててくれる理由ってやっぱり、the brilliant greenのサウンドが聴きたいからだと思うんですよね。それが突然、たとえばフュージョンとかになってたらイヤだろうし。

松井:それはすごすぎるけど(苦笑)。

Tommy:でも、なんかイヤじゃないですか。ちょっと毛色が違う感じになってただけでも。そこは責任感としてすごく思っていた部分で。

松井:たとえば毎回方向性が変わるバンドもありますけど、逆に、長年変わってへんバンドってありますよね。僕らはそういう感じなのかなぁと思います。


■とすると、3人にとっての“the brilliant greenらしさ”とは?

Tommy:はっきりとはわからないんですけど、具体的なところでいうと、たとえばアナログで録るとか。アレンジと音色の面だと思いますね。

奥田:the brilliant greenは昔ながらのやり方でやる、という感じですね。それぞれソロをやってたときには、最新の録音方法を駆使しつつ……みたいなこともさんざんやったんですね。でも3人に戻ったときに、the brilliant greenはそうじゃなく、もっと手作りで、荒さがあって、手間をかけてじっくり理想を突き詰めていくようなやり方をしていこうって話したんです。

Tommy:そのやり方のほうがゴージャスだしリッチだし。

奥田:そういう音作りを、聴いてくれる人はもちろんなんですけど、音楽を作ってる人にも知ってほしいと思うんですね。「ヘンな音が鳴ってるけど、何の音やろ?」とか「この生ドラム、どうなってるんだろう」とか、そういうところにも興味を持ってもらえたらうれしいなぁって。シンセサイザーでピコピコやってるようなのだけが音楽じゃないので。

Tommy:そういうのもやるんだけどね。

奥田:そういうのもバリバリやる(笑)。でも“ブリグリの奥田”としては、そうなんやと。ややこしいんです(苦笑)。


■そんなこだわりを反映したのが新曲『Stand by me』なわけですが、まさに再始動のまなざしの強さがうかがえるキラーチューンですね。来た来た! って感じでした。

Tommy:あ~、ありがとうございます。ドラマのタイアップがあったので、シングル候補の数曲をドラマ側の方に聴いていただいて、この曲がいいということで決まったんです。デモの段階ではもうちょっとソリッドな感じだったんですよ。それをアナログで全部録り直して、丁寧に仕上げていって。

松井:相変わらず音作りには悩みましたけど、それも仕方ないという感じですね。the brilliant greenって“これだ!”という音が見つかりにくいバンドやから(苦笑)。


■その不安定感みたいなところも“らしさ”ですよね。

奥田:そうですねー。

Tommy:あいまいにあいまいに、っていうのはつねに意識してやってるから。

奥田:あいまいに、ノリで、とか言ってやってるんですけど、なぜかノレなくなったりするんですよねぇ。

Tommy:ラフとは違うんですよね。計算されたあいまいさに持っていくのがすごい大変で。まあ、すべてはまたこれからですね。アルバムあたりでしっかりと。


■アルバムという言葉が出ましたけど、今年はデビュー10周年でもありますよね。ベスト盤の用意もあるんですか?

奥田:たぶんあると思います。まだ決定ではないんですけど。

Tommy:でも(ベスト盤より)フルアルバムを出したいなっていう気持ちでやってますね。

奥田:10周年だからというよりは、また手探り状態でイチからやっていくという感じなので。


■新作に向けてもう動き出してるんですか?

Tommy:まだです。

松井:全然です。

奥田:イメトレ(イメージトレーニング)中です(笑)。

Tommy:正直なところ、まだ再始動の実感がわいてないんですよ。だからアルバムを作り始めてみたら、言ってることもまた変わるかもしれない(苦笑)。

奥田:何しろまだ2曲しかやってないんで。レコーディングでも一緒に演奏したわけじゃないですし。一緒にやってる感が出てくるのは、もっといっぱい曲をやってからですね。

Tommy:そこをイメトレ中。

松井:わはははは(笑)。


■つまり、これからに期待! って感じですね?

奥田:そうですね。

Tommy:メインディッシュはこれからです(笑)。