2007年11月2日金曜日

Interview with - 中島美嘉

中島美嘉のニューシングル『LIFE』は話題の深夜ドラマ「ライフ」の主題歌ということもあり、ダンサンブルなサウンドに乗せて、前向きなエネルギーを感じることができる楽曲に仕上がっている。そしてカップリングの『IT'S TOO LATE』は中島のオリジナリティーあふれる言葉がちりばめられたラブソング。今回は、そんな新曲の話から中島自身の恋愛観まで、幅広く語ってもらった。


■久々にダンサブルな曲調ですよね。

中島:はい、そうですね。自分でもチャレンジ感はありますね。


■アルバムではけっこうアップナンバーもありましたけど、シングルでは久々ですよね。歌ってみて違和感はありましたか。

中島:うーん。そこまではなかったかな。


■今回のシングルっていうのはドラマの主題歌ですよね。しかもいじめをテーマにした。けっこうハードな内容のドラマだとのことですが。

中島:ですね。原作や脚本は読ませていただいたんですけど、この時代にこういうものを書いているのはすごいなと思いましたね。


■昔からいじめってありますけど、ここ最近はまた社会的にも問題になってますもんね。

中島:うん。だから、ってことかどうかはわからないんですけど、怖がらずにこういうものをやるスタイルはカッコいいなって思いましたね。


■中島さん自身はいじめの経験ってありますか?

中島:どうなんでしょうね。たぶんいじめられた経験ってあったと思うんですけど、覚えてないんですよ。


■覚えてない(笑)。それは忘れたってことなんですかね?

中島:うーん。忘れたというか、ホントに覚えてないんです。私が思うのは、いじめって気持ちの持ち方次第のような気がするんですね。もしくは性格次第ともいえるかもしれませんが。


■いじめられている側がどうそれを判断するかってことですね。

中島:はい。いじめられて、それをどう受け取るかで陰惨なものになるのか、大したことではなくなるのか。そこって人によってだいぶ変わってくるんでしょうけど。ある人はいじめとしか受け取れないでしょうし、ある人はけんかと受け取る。それによってだいぶ変わるんじゃないかな。


■じゃあ、中島さんの場合は?

中島:私は言い返すか、けんかしちゃうほうだったので。だから覚えてないんでしょうし、エスカレートせずにすんだと思います。


■何事にもいえることですよね。いじめに限らず。

中島:うん、そう思いますね。マイナス志向で物事をとらえちゃうとマイナスのままだし。私の場合はそうはならないし、その場で判断してけんかなり無視なりしてきたので。忘れた、っていうよりも自分のなかで消化されて、覚えてないものになってるんです。やっぱり何か言われたりすれば、言い返しちゃうタイプなんで。


■2曲目の『IT'S TOO LATE』なんですが。歌詞は共作で中島さんも書いてますよね。この歌詞の世界って、わりと中島美嘉さんなりの恋愛観が出ているのかな、なんて思ったんですけど。

中島:いえいえ。そんなことないと思いますよ。


■あ、そうなんですか。

中島:私の場合、歌詞を書くときって、あまり自分のこととか、それこそ今おっしゃったような自分が体験してきたことってほとんど書かないんですよ。全部想像なんで。


■実体験とかがどっかで反映されているのかなとも思ったんですけど。

中島:はい。でも、今回の歌詞にしても、すべてが想像ってわけではないですよ。部分的には自分の体験した気持ちとかが反映されていたりはしますけど、すべてを詞に表現するってことはないですね。例えば、昔の自分の恋愛を歌詞に書いてみるなんてことはないんですよ。あのときの恋愛を歌詞にしてみようとか。


■なんか意外な感じですね。

中島:そうですか? 私の場合は、例えば歌詞は絶対自分が書きたいっていう思いはあまりないんですね。今回、『LIFE』はほかの作家さんに書いてもらった歌詞ですけど、人に作ってもらった詞を歌いたくないかといえばそうじゃないんです。別に歌詞をすべて私が書かなくても、自分の気持ちを楽曲に入れ込む方法ってあると思うんですよ。


■まあ、そうですね。それこそストレートに歌唱に入れ込めばいいわけだし。

中島:はい。歌詞もまず楽曲があって、何か自分のなかでインスパイアされるものがあれば書きたいなとは思いますけどね。『IT'S TOO LATE』は同時にほかの作家さんにも依頼してまして、それぞれ別で書き上げたものなんですよ。


■あ、そうなんですか。

中島:最後にふたつの歌詞をパズルみたいに組み合わせて完成させたんです。


■そういう共作をやってみて刺激を受けた部分とかはありました?

中島:刺激というか、おもしろいなと思えるのは、例えば語尾ですね。私には絶対書けないようなフレーズがあって。またそれが気持ちよく音にハマっているんですよ(笑)。歌っている側としても気持ち良く歌えますよね。


■なるほど。この歌詞に中島さんの恋愛観が出ているかどうかは別にしてですね、人間性のようなものはにじみ出ている気はするんですよ。

中島:そうですか?


■はい。

中島:少数派の恋愛を書いてみたいなっていうのはありますけどね。大多数が納得するような恋愛の形ではなくて、少数派の人たちに「わかる、わかる」って共感していただけるような。


■そういう意味での恋愛観は出てるんですね(笑)。

中島:確かに。こういう歌詞はバンバン出てくるんですよね。潜在的にSなんだと思います(笑)。


■中島美嘉さんがSかどうかはこの際置いておいて(笑)、Sな女性を好きな男性って多いような気がするんですけど。

中島:どうなんでしょうかね。


■言われなきゃダメ! な男は多いですって。

中島:ははは(笑)、それってご自分のことですか? 怒られなきゃ安心しない、みたいな。


■さぁどうでしょうか。この際僕がSかMかはかなりどうでもいいんですけどね(笑)。

中島:でも私の場合は、SかMかどっち? って聞かれたら、そのときによると思います。潜在的にはSなんでしょうけど、どこかで男性はちゃんと立てなきゃって思ってるんです。九州育ちだし、実際そういう人が多いですし。


■あぁ、九州女の美学ですね。

中島:はい。今、父と住んでいるんですけど、ご飯をよそうのはお父さんが先、とか。そんなふうにすることが普通だし、小さいころからずっとそうしてきたんで。すっごくうるさいんですよ。東京に住んでるとあんまりそういうのがないですけど。


■基本的には男性を立てつつ、なんですね。

中島:男性らしさっていうのにやっぱりこだわるようになりますしね。例えばですけど、街で男の人が女の子のブランドの紙袋とか持ってあげてる姿を見たりするけど、自分はイヤなんです。ふたりきりのときに荷物を持ってくれたりするのはうれしいけど、人前でそれをされるのはイヤなんですよ。


■すごくわかりやすいですね。九州女の典型じゃないですか。それでいて、ちゃんと男性を操縦しているってことですよね。

中島:育ってきた環境がずっとそうでしたからね。


■僕の知人に福岡出身の歌手の方がいらっしゃって、その方の言葉が今でも印象的すぎて覚えてるんですが……。

中島:え? どんな言葉ですか?


■えっと、「女は土、男は木。男ひとりを大木に育てられない女はダメ!」と。

中島:すごい! カッコいい(笑)。


■ウケましたか(笑)。

中島:ウケたというか、カッコいいですよ! まさに理想ですね、それが。女が男を育てる。ホント九州女ってそういう思想なんですよ。あぁ、一気にその人が好きになりました。今度どこかでお仕事が一緒になったら話しかけてみたい(笑)。「女は土で男は木なんですよね?」って。参考になりました! ありがとうございます(笑)。