2007年10月26日金曜日

Interview with - 木村カエラ

自身初の日本武道館公演は、本人も涙するほどの大感動&大盛況。アルバム『Scratch』と前シングル「Samantha」も、連続で会心の仕上がりに。木村カエラの活動ぶりはデビューから3年が経過しても、スケールを大きく広げ続けている。という好状況の中では完成した新曲「Yellow」も、カエラ流ロックの新たな扉を開けたナンバー! 音楽シーンのど真ん中でますます輝く木村カエラの独特な個性と、彼女を突き動かす衝動の源を、ニュー・シングルの世界観から改めてひも解いてみる。

新曲、文句なしにカッコいいです!

カエラ:(笑)おぉ~っ。よかった~!

アグレッシブなギターとかリズムのトリッキーさとか、エッジがかなり聴いていて。

カエラ:例えば、Aメロの流れとかは、ロックのリズム感じゃなくてラップ的な縦ノリですよね。そこにわざと日本語を入れて、ちょっと気持ち悪く聴こえる感じにしたのは、シノッピ(作曲を手がけた渡邊忍/ASPARAGUS)と私の思惑なんです。あと、アコギの音とかが急にサビに入ってくるのも、“うわっ、なにこの音!”みたいに感じてもらえると思うんで…。うん! いいと思います(笑)。

気持ち悪く聴こえるって、褒め言葉なのが素晴らしいです(笑)。渡邊さんとは、まさにそういうフック的な仕掛けを狙っていた?

カエラ:うん。私、ノー・ダウトが大好きなんですけど。昔のノー・ダウトって、レゲエとロックが混ざってるようなリズム感というか、ちょっと独特な音楽だったじゃないですか。そういう感じをやったら面白いねって、ふたりでずっと話してたんですよ。シノッピも私も、 R&Bとかを聴くことも結構あったりして、そういう中で…。あの独特なノリをあえてバンドでやるのがいいのがいい、っていう。そこでデジタルな音を使ったり英語の歌詞をあてはめたら、普通のカッコいい音楽になっちゃうというか。そうじゃなくて、ちょっと気持ち悪い感じがいいねって(笑)。

キャッチーさもポップさも、もちろんありつつ。でも、いい意味でちょっと気持ち悪さもある(笑)。個性が強い曲を、シングルとしてリリースする潔さもスゴいなって思うんですよ。カエラさん自身はその、シングルの位置づけ的なことってどうとらえてますか?

カエラ:あのねぇ…。私が元々、デビューする前から、例えばインディーズの音楽だったり外国の音楽だったり。日本ではそこまでポップだとは思われてないようなものも、普通に好きで聴いてたからっていう、その流れがあると思うんですよね。日本ってそういうところ結構、分かれるじゃないですか。全部一緒にしちゃいたいっていうのがあって。

あぁ~っ。なるほど。例えば、洋楽/邦楽とか。そんなふうな分け方で音楽をジャッジする感じも、あるような気しますね。メジャーとインディー、とか。そういう変な壁みたいなものを崩したいっていう気持ちが、カエラさんの作品には表れているのかも。

カエラ:うん。日本のメジャーから出ている人で、“うおぉ~っ! これいい曲じゃん!”っていう人ももちろんいるし。そういう中であえて私が、“これ、メジャー?”っていうものを、やることに意味があるのかなって思うし。私自身が本当に好きな曲が、歌っててもやっぱり一番気持ちいいし。それと…、「TREE CLIMBERS」とかも、ちょっとメジャー感はなくないですか? 詞に英語も多いしシングルっていう感じでは、ある意味ないですよね。でも、あれを出した時に一番反応したのが、子供だったんです。幼稚園ぐらいの子。子供がね子供がねって、まわりから一番言われた曲だったんですよね。

へえぇ~っ! あんなロックな曲に、面白い反応だなぁ。でも…。あのビート感とかを聴いてパッと反応して、身体が動くみたいな感覚は何となく分かる気もします。

カエラ:そう。動くし、踊るし。♪day by day~って、歌うし。それがまずビックリしたんだけど…。子供に受け入れられれば、まわりの大人にも受け入れられるだろうっていう、単純な考えがあるので(笑)。だって、色んな人が集まってくるほうが、楽しいじゃない! 実際、今のライブはそういう感じになってるし。小っちゃい子供もいれば、着物着たおばあちゃんがいたり(笑)。会社帰りでネクタイ姿の人もいれば、原宿で見るようなキッズも盛り上がってるのが、すごい嬉しいんですよ。

サウンド面ですごくいい話が聞けましたんで、次は歌詞についても聞かせて下さい。タイトルの“Yellow”に込めているものも含めて、ここから伝えたいメッセージを。

カエラ:この曲の主人公は、強がってる女の子なんです。例えば…、(手もとのコップを指して)誰かにお茶を入れてもらったりして、素直に“ありがとう”って言えばいいのに、“別に、あとで自分でやるからいいのに”みたいに言っちゃう強がってる子が主人公。Yellowっていうのは、黄色信号っていう意味なんです。行けるのに、行かずに踏み止まっている女性って、とても多いんじゃないかな。

でも女性って、すごく心が強い人種だなって私は思っていて、だからこそもったいないなって思うんですよね。私自身なりたい女性像は、心があったかくて強い女性なんですね。子供を産んだ女の人を見るとよく思うんだけど、大きくて、包み込む力があって、話してることも優しさがあって。

あぁ~っ…。“母性”って、まさにそういうことなのかもしれないですね。

カエラ:そうですね。スッとまっすぐ立ってて安心感がある、大っきい樹みたいな女の人になりたいなって。そういう中でまた、思うのが…。それって、守るものがあるからなのかな、とか。自分で産んだ子供っていう守るべきものができると、自然と強くなれるるのかなって気もするんだけど、それがない人はどうしたらいいんだろう。仕事を一生懸命頑張ってたりして、それを持ってない人は、さっきの話みたいな、色んな場面で強がっちゃうこともあると思うし。じゃあそこで、心を強くするにはどうしたらいいのかって考えると…。素直な言葉をしゃべって、心が素直でいられるように、自分自身をしっかり分かってなくちゃいけないんじゃないかな、って思ったんですよね。だから、色んな意味で素直に生きていたいねっていうのがテーマかな。私自身そうありたいし、みんなもそうあってほしいなっていうメッセージというか、うん!