2007年10月28日日曜日

Interview with -MONKEY MAJIK

なんて心地が良くて、風通しのいいアルバムなんだろう。7月25日リリースのMONKEY MAJIKのニューアルバム『空はまるで』は、初めて“夏”を意識しながら制作された1枚なのだという。もちろん、メロディーを大切にした楽曲作りはいつもどおりいい感じに自然体。m-floとの『Picture Perfect』、SEAMOとの『卒業、そして未来へ。』、吉田兄弟との『Change』という、才気あふれる3組のアーティストとのコラボレーション3部作を経てたどり着いた、MONKEY MAJIKの新たな魅力に迫る。


■ニューアルバム『空はまるで』は、MONKEY MAJIKらしくすごくバラエティーに富んだ1枚になりましたね。でも全体的に統一感があるというか、歌もメロディーもサウンドもすごく心地がいい!

Maynard:今回はとにかく音がリッチなアルバムにしたくて。リッチ=いっぱい音を入れるんじゃなく、ひとつの音に対するケア、ハンドリング……ギターをいちばんリッチな音にするためにこういう部屋で録ろうとか、こういうギターやマイクを使おうとか。でもそういうテクニカルな作業はすべて、メロディーにいちばんフィットする音を作るためだから。ま、そこはいつもどおりですよね。


■そういう部分をいちばん顕著に感じたのが、アルバムの冒頭を飾るタイトル曲『空はまるで』。この曲はものすごくシンプルだけど、ギターのカッティングだけでもう、ヒップホップやフォーク、ソウル、ブルースなど、このバンドの持ついろんな要素が表現されているから。

Maynard:ほぉ~。すごい(笑)。ま、シンプルイズベストじゃないかな。そういうとこではけっこうMONKEY MAJIKっぽいというか、『SPADE』のころからいつもシンプルな音を心がけていました。あと、レコーディング中の空気感を入れたかった。空気だから見えないし、CDには入れなくてもいいのかもしれないけど。『空はまるで』はオーボエとフルートで始まってて……モーツァルトの曲にチューニングっぽい感じで入る曲があるんで、そういう雰囲気を出そうと思って(笑)。でももしかしたらオーボエはいらなくて、ギターだけでも十分キレイだったかもしれない。でもこの4人がスタジオにいる雰囲気を出したかったというか……。なんか、なんか説明しづらい(笑)。

全員:わははははは。

Maynard:リビング作品というか、もう自分の一部だから、(アルバムを)客観的に見られない感じ。

DICK:でも今回は初めて夏に出るアルバムだから、明るい感じに仕上げたかったんだよね。

Maynard:それはあったよね。リッチというか、バーベキュー・ミュージック(笑)。ドライビングしてキャンピングに行こうっていうアルバムにしたいなってね。

■今まで以上にボーカルやハーモニーが表情豊かなのも新鮮でした。Blaiseさんのラップもよりメロディアスになっていて、それもすごく染みたというか。

tax:ボーカルは、前の日どれだけ飲んだかっていうのも大きいよね(笑)。

Maynard:あとタバコもやめたしね。『フタリ』のときはまだオールドスクールMaynardだけど、ほかの曲はノンスモーキングMaynard(笑)。禁煙のおかげで3回ぐらい声が出なくなりましたけどね、なぜか。Blaiseもタバコをやめたけど彼は大丈夫で。だから僕はもう1回(喫煙を)スタートしようかと思ったぐらい(笑)。

Blaise:でも禁煙してレンジ(声域)は上がりましたね。ただスモーキング時代より今のほうがちょっとハスキー。あとパワーもね? でも今のほうが気持ちいいね。Now, I feel professional。前はやっぱりアマチュア(笑)。


■そんな新局面がさまざまな形で楽しめる『空はまるで』ですが、アルバムタイトルにはどういう思いが込められているんでしょうか?

tax:単純に今回は前回のアルバムよりも幅が広がったかなっていうイメージがあって。そういう意味でもボーダレスな雰囲気が合うかなと思って選んだんです。でも、そこ(タイトル)にはあんまり強い意味は込めてなくて。僕たちが作品を作るときはいつも、そのとき感じたことを作品のなかに落とし込むっていうスタイルでやってて。現時点では『空はまるで』は僕らにとっての最高の1枚だと思ってるし、そうやって僕らが自信を持って最初から最後まで時間をかけて作り上げた1枚だから、より多くの人に知ってもらえたらなって思ってますよね。

Maynard:“空はまるで……何のように?”って考えると、いろんなふうにイメージできるからね。“君のように”の君ってだれだろうって、みんながそれぞれ違う人を考えたりして。それぐらいの幅広い感じ、Forever Borderlessみたいな感じ。すごいFitting(ふさわしい)タイトルかなって思ってる。あと、アルバムジャケットもぜひ見てもらいたいです。どんどんハードコアエリアになってきてるしね(笑)。(楽曲は)子どもたちのためにも作ってるのに、子どもたちにはわからないジャケットになってるから(一同爆笑)。でも僕らはみんなすごく気に入ってて。ずっと好きだったスピッツとか東京事変のジャケットとかをやってるアートディレクターの方にやってもらえたんですけど、合成じゃなくて写真っていうところもすごい気に入ってます。

■今作にも収録されているm-floとの『Picture Perfect』、SEAMOとの『卒業、そして未来へ。』、吉田兄弟との『Change』。このコラボ3部作の制作は、MONKEY MAJIKにとってどんな経験でした?

Blaise:楽しかったねー。

Maynard:あと、『Around The World + Go!空』(『MONKEY MAJIK×MONKEY MAGIC』収録)では香取慎吾さんともコラボできたしね。

tax:やっぱり最初のコラボがm-floさんだったのはホントに良かったですね。『Picture Perfect』の前にm-floさんから作品に参加しないかって声をかけてもらって。そこでコラボすることの楽しさを教えてもらえたし、勉強にもなったし、これからももっといろんな人と一緒にやりたいと思ったし。やっぱり最初はコラボ自体初めてだから緊張してたし、芸能界っていうか(笑)、初めて会う大物アーティストだったから構えてたしね。

DICK:明日遠足、みたいなね(笑)。

tax:でも実際に会ってみたら、前から友だちだったみたいな楽しい雰囲気でできて。

Maynard:ふたりとも英語もペラペラだし、逆に“日本語のほうがいいですか?”なんて聞かれて変な感じだった(笑)。SEAMOさんもすごく優しくて、本当に音楽が好きでやってるのがわかって良かった。吉田兄弟は、目の前でライブ状態で演奏してくれて。あれは感動しました!

DICK:吉田兄弟さんの作品自体がいいからね。僕たちはそこに参加したっていう意識だから。

Maynard:これまでも打ち込みで三味線の音は入れてきてるんですけど、本当はずっと彼らと一緒にやりたかったから。だから今回やっと! だね。


■そんなコラボを経て、m-flo、SEAMO、FreeTEMPO、BENNIE Kという豪華メンツを迎えたMONKEY MAJIK主宰の初の野外フェス“APPI MUSIC JAM '07 MONKEY MAJIK+FRIENDS”が8月16日に開催されますね。

Maynard:この日は吉田兄弟さんだけロスでレコーディングのため共演できないんですけどね~。それはすごく残念。


■どんなイベントになりそうですか?

Maynard:大好きなFRIENDSと大事な曲を披露できるってことで、すごくハッピーな1日になると思います。コラボ曲は(共演相手が)一緒じゃないとやりませんから。


■てことは、この日これまでのコラボ曲が初生披露に?

Maynard:はい! けっこうMONKEY MAJIKっぽい感じになると思いますね。FreeTEMPOからSEAMOまでが共演してくれるっていう。ほんと、ワールドワイドなレンジの広い人たちが集まってくれてうれしいよね。もうね、バーベキュー・パーティーですよ、オンステージで(笑)。

tax:ほんと、バーベキューの話はいっぱいしてるよね。

DICK:コンロは何基用意するかとか、シェフハットをかぶるほうがいいのかとか、そういう話はいっぱいしてるのに、ライブの詳細はまだ決めてないからね(一同爆笑)。