2007年12月1日土曜日

interview with - 安室奈美恵

 今、安室奈美恵が絶好調だ。2007年第1弾シングル『Baby Don't Cry』がロングセールスを記録し、最新シングル『FUNKY TOWN』も大ヒット。ファンキーでエッジー、だけどばっちりポップな安室奈美恵の新たな魅力に、さらなるファンも急増中だ。そんな好状況のもと、前作 『Queen of Hip Pop』から2年ぶりとなる待望のニューアルバム『PLAY』が完成した。脇を固めるのは、T.Kura+michico、Nao'ymtという、ここ数年来、安室サウンドを支えてきた強力なクリエイター陣2組。驚くほど挑発的なジャケットも超話題の、セクシーでクールな安室奈美恵の最新ポップワールドの謎を探る!


■タイトルも『PLAY』ですし、ジャケットもかなり挑発的。やはり今回はサウンドもイメージも、“新たに攻めていこう”っていう気分だったんでしょうか?

安室:そういう気持ちって、アルバムを作るたびに毎回あるんですよ。また何か違ったことができればいいなとか、冒険できればいいなとか。ア ルバムはやりたいことが大胆になれるから、楽曲も自然とそうなってきたりしますしね。今回のアルバムの場合、『FUNKY TOWN』ができたあとから、“こんな方向性がいいかな”って感じで『HIDE & SEEK』とか濃い曲が一気に増えて、(方向性が)決まっていったんですよね。


■じゃ、『FUNKY TOWN』がキーになった、と。

安室:ですね。あと、もうすぐ30才になるので、30代のキラキラ感だったり、遊び方だったり、余裕の出し方だったりを表現した、大人っぽいアルバムにしたいなっていうのもちょっとあって。


■大人とはいっても丸くなるのではなくて……。

安室:うん、そうですね。やっぱり丸くはなりたくないなっていうのはあって。丸くなるにしても、とがった部分って安室奈美恵には必要だと思うんですよ。だから、丸くなる部分もありつつ、いろんなとこでとがった部分も残しつつっていう。


■30才になることって、けっこう気になります?

安室:少し前はわりと気にしちゃってましたね(笑)。28才ぐらいから、どうやって30才を迎えようって。20才のときは早く大人になりたかったんですけど、結局やってることも気持ち的にも別に何も変わんなかったなって。


■なっちゃえばラクというか、長い人生のなかでもっとも充実した年代なんでしょうけどね、30代って。

安室:そうですよね。だから、どれだけ楽しめるかがテーマっていうか。10代のときも、20代のときも、ちょっと背伸びして歌ってたのが、 今は自分のままで歌えるというか。自立した強い感じの女性像も、ナチュラルなままの女性像も、今のままの自分で表現できるし。あおったりする感じも今だか らできるし、聴いてる人にも自然に伝わるんだろうなって思うんです。前だったらきっとあおりきれてなかった部分も、今ならおもしろおかしくあおったりでき るんだろうなって。そういうことが音楽のなかで楽しく遊んだり、表現できればいいなって思いますね。


■『PLAY』収録のラブソングの場合、恋愛の主導権を握ってるのはほぼ女性側ですよね。それって大人の女性だからこその特権というか。若いうちはどうしても男性に振り回されがちでしょ?

安室:あとはどっちが好きか、ですよね。私はどっちだろうなぁ~? ……振り回されるのがいいですよね(笑)。


■そういう恋愛話って、作詞担当のmichicoさんともされます?

安室:時々は。でもmichicoさんって、すごい私を観察してるんですよ(笑)。例えばmichicoさんが、“これいいだろうな”って いう曲に私がイメージがわかないときとか、“普段は無口であんまりしゃべらないコなのに、曲が来た時点でイメージが違ったらノーって主張するんだな”って 感じで。音選びから私の考えを見られてるっていうか。


■だからmichicoさんの詞と安室奈美恵さんの歌声って、すごくいい具合に反応し合うのかもしれない。

安室:michicoさんの世界観はホント、好きですね。彼女の書く詞って、こんなふうに歌ったらカッコイイだろうなとか、こんな衣装で歌 いたいなとかっていうイメージが次々と浮かんできて(楽曲の世界に)入りやすいんですよ。(楽曲のビジュアルイメージが)浮かばない曲はレコーディングの ときに選ばなかったりするから。


■今回はどの曲がいちばんイメージ的にガンと来ました?

安室:あ、『HELLO』は来ましたね。だから『HIDE & SEEK』も押し曲としてスタッフもみんな押してたんですけど、私は『HELLO』も映像がすごく浮かんでたので、この曲も押し曲としてどうしてもミュー ジックビデオを撮りたくて。ビデオにしたときも絶対カッコ良くなる曲だと思ったので、(イメージどおりの)ビデオが作れて良かったなって。

■今回『FUNKY TOWN』や『HELLO』、『HIDE & SEEK』のミュージックビデオのほか、初回盤の特典映像として安室さんが声優に初挑戦した「The World of GOLDEN EGGS」も収録されているんですよね。

安室:「The World of GOLDEN EGGS」は、前からMTVで見て気になってたんですよ。で、あるとき、T.KuraさんがおもしろいDVDがあるって言って持ってきたのもそのアニメ で。それでみんなで、「The World of GOLDEN EGGS」のなかにGUSHIケンバンドっていうのが出てくるから、沖縄つながりでそこに私が入るのっておもしろいねって話になって。それで 「The World of GOLDEN EGGS」の制作の方に提案してみたら参加させてもらえることになって……。


■そのGUSHIケンバンドでは歌も歌ってますよね。

安室:そうなんです。アルバムの曲をmichicoさんの家の2階の自宅スタジオでレコーディングしてるときに、完成した「The World of GOLDEN EGGS」の映像をスタッフが下で見てて。歌入れをしてたら、下の階からみんなのすごい笑い声が聞こえるんですよ。アルバムに笑い声入っちゃうよ、ってぐ らい。


■え!? アルバムのレコーディングって、そんなアットホームな雰囲気のなかでやってるんですか?

安室:そうなんです。michicoさんの曲は全部自宅スタジオでレコーディングなんで、わりと自分の家みたいな雰囲気なんですよ。


■意外! 自宅スタジオでレコーディングといえば、チープ感やミニマム感が出そうなものなのに、全然そんな仕上がりじゃないから。

安室:ねぇ? T.Kuraさんのマジックがあるんでしょうね。


■そのT.Kuraさん+michicoさんチームと、Nao'ymtさん。今回のアルバムの制作陣はその2組だけだそうですが、ここ最近の安室奈美恵さんにとってこの2組は、まさに気心の知れたチームですよね?

安室:でも、それも初めから決まってたわけじゃないんですよ。ほかの方の楽曲も聴かせてもらってたんですけど、やっぱりどうしても耳に残る のが、T.Kuraさん+michicoさんとNao'ymtさんの曲だったんです。で、アルバムの3分の2ぐらいの曲を録り終えたときに、2組の楽曲し か入ってないんだけど、みたいな(笑)。でも、いいんじゃない? 今回はもうそれでいこうよ、みたいな。


■ここ2~3年いろんな方とコラボしてみたけど、結局この2組が今の気分にいちばんしっくり来た、と。

安室:そうそう。『Queen of Hip Pop』 まではいろんな方にお願いしてましたからね。でも、気が合った仲間たちと作ったってとこでも、妥協のないアルバムになりましたね。時間がないからこの曲 は……とか、そういうのが1曲ぐらいはあったりもするんですが。いつもそれがすごいイヤだったんですけど、今回はそれがないですね。もちろん今回も時間的 にはかなりギリギリでしたけどね(笑)。


■そんな妥協なき今作は、安室奈美恵さんにとって20代最後のアルバムにもなるわけですよね。

安室:はいっ(と言って、右手の親指を立てて小さくポーズ)。“20代最後の挑発、いっとくか?”みたいな(笑)。ツアー中に30才を迎えますけどね。


■8月からの全国ツアー“namie amuro PLAY tour2007”はどんな感じになりそうですか?

安室:大人っぽいツアーにしたいですね。アルバムのイメージを壊さない感じでいきたいなって。しかも、今回のツアーは4~5か月の間に53本もあるんですよね。


■本数も多いし、かなりの長丁場。毎回、特にツアーに向けて体力作りはしないって話ですが……。

安室:去年もしましたけど、今年はね、します!「ビリーズブートキャンプ」のDVDで(笑)。どんだけ「ビリー」がすごいのかっていうのを 体験してみます。去年購入したままほったらかしてたんですけど(笑)、知り合いのダンサーさんが試したら、2日ですごい筋肉痛になって、3日目でやめた いって言い出して。筋力も体力もあって、毎日運動してる人がそんなこと言うなんて、と思って。でも5~6日目からラクになるらしいから、私もちょっとやっ てみようかなって。なので、今年のツアーは「ビリーズブートキャンプ」で乗り切ります!