2007年12月4日火曜日

interview with - BoA

 2000年8月に母国である韓国でデビューし、翌々年の2001年5月、『ID;Peace B』で日本デビューを果たしたBoA。 当時BoAは14才。“とにかく歌うことが大好きなんです!”と慣れない日本語で話してくれた。実の兄が受けたオーディションについて行ったことがきっか けで、この世界に足を踏み入れることになった彼女に、ここまでの無限の可能性が詰まっていたと当時だれが想像できただろうか? 2006年11月5日、 20才の誕生日を迎えた彼女は、デビューから5年という歌い手としての節目と自らの人生の節目である“20才”を記念して、2007年1月17日に5枚目 となるオリジナルアルバム『MADE IN TWENTY(20)』をリリースする。タイトルが示すがごとく、彼女のいままでの歌い手としてのすべて、そして人生の経験すべてが、このアルバムには詰め込まれているといっても過言ではない。今回は、そんなニューアルバムの話を中心に、BoAの素顔に迫ってみました。


■BoAさんやっとハタチになりましたね!

BoA:はい(笑)。デビューが14才だったので「BoAはいつハタチになるの?」って言われ続けてきたんですけど、これでもう言われなく なりますね(笑)。でも、実感はないんですよ。目に見えるものが大きく変わったということはないし、精神的にも特に大人になったとも思えないし(笑)。で も、やっぱりデビューのころの写真を見ると“老けたなぁ”って思いますけどね(笑)。


■ふ、老けたなぁって(笑)。

BoA:あぁ、“大人になったなぁ”って(笑)。


■20才を機にチャレンジしたいことは?

BoA:もうちょっと日本語を完ぺきにしたいですね。


■完ぺきですよ、BoAさんの日本語。私たちよりも正しく日本語を使えてますよ。

BoA:そんなことないですよ、まだまだだなって思うことがいっぱいありますもん。


■お酒も飲める年になったけど。

BoA:ん? 酒はちょっとだけ飲むんですけどね。


■“酒”って(笑)。

BoA:あははは。ね(笑)。日本語の丁寧語ってむずかしいですよね。こういうとこがまだ完ぺきじゃないんですよ。細かいニュアンスや使い分けが。だからね、自分ではそういうつもりじゃないのに笑われちゃったり突っ込まれたりするんです(笑)。


■正しい突っ込みを入れちゃったね(笑)。

BoA:いえいえ、いいんですよ、そこからいろんな話の展開があったりもするから(笑)。でも、そういう細かいとこもわかって話せたらもっとおもしろいんだろうなって思うんですよね。そしたら、歌の面でももっと細かく感情を表現していけると思うし。



■『MADE IN TWENTY(20)』では、よりいっそうの感情移入を感じたよ。自然な大人っぽさがすごく印象的なアルバムだった。

BoA:それ、本当にうれしいです! 周りのスタッフにも「無理してない感じがいいね」って言ってもらえたことがすごくうれしくて。今回の アルバムでいちばんこだわったところでもあったから。20代になって初めてのアルバムでもあるので、やっぱり最初は“大人”っていうところを意識したんで すけど、逆に大人っぽさを意識し過ぎてしまうと、自分の歌に無理が出てくると思ったので、自分の素直な感情を歌に込めたんです。今回、恋愛の歌詞が多かっ たこともあったので、まだまだ自分が経験していない感情もあったんですが、変に背伸びしないように、その歌詞を読んだときに感じたままを素直に歌ってみた んです。


BoAはいままでもすばらしい感情移入を見せてくれていたけど、今作ではよりBoAの内面を深く感じ取ることができたから、何か心境的な特別な変化があったのかなって。

BoA:はい。いままではディレクターさんが歌詞の内容やストーリーを説明してくれて、そこから自分の感情を絡めていくことが多かったので すが、今回は歌詞をもらって、最初から自分で読んで理解していったんで、人伝えではなく、本当に私が感じたままを言葉にできたと思うんです。それが、聴い てくれる人に無理なく自然に伝わってくれたのかなって思います。


■前作のオリジナルアルバム『OUTGROW』ではBoAさんの作詞曲が多かったけど。

BoA:はい。でも、今回はあまり作詞という形では参加していないんです。今回は“歌う”ことに集中したかったんです。シンガーとして成長したいという気持ちが強くあったので。


■なるほど。今回、2006年リリースのシングル曲も何曲か収録されるけど、シングルでの成長を生かせた感覚はあった?

BoA:ありましたね。『Winter Love』(2006年最後のシングル)が大きかったかな。ラブバラードなんだけど、別れの歌だったんですよ。せつない失恋の歌っていままでなかったから。“やっと失恋の歌も歌えるようになったな”って思いましたね。


BoAのバラードを待っててくれる人も多いんじゃない?

BoA:はい。『メリクリ』(2004年12月リリース)あたりから、特にバラードを待っててくれる人たちが増えた感覚があって、冬になるとバラード曲を作らなくちゃって自分でも思うようになったんです(笑)。


■そうなんだ(笑)。個人的に、今回のアルバムに入ってるBoA作詞の『OUR LOVE~to my parents~』はすごくあたたかい気持ちを感じた。

BoA:『OUR LOVE~to my parents~』は『OUTGROW』 に入れようと思っていた曲でもあったんですけど、バラード曲の割合が多くなってしまったこともあり、とっておいた曲で。両親にあてて書いた歌詞なんです。 いつか、両親への思いを歌詞にしてみたくて。今思えば、ハタチになった今、この歌が歌えたことにすごく意味を感じていますね。実は今回、“BoA THE LIVE”(9月から回ったツアー)に集中したかったこともあり、レコーディングは9月までにすべて終わらせていたんですが、『OUR LOVE~to my parents~』に関しては、それより前にすでにレコーディングが終わっていたんです。でも、“近い距離でBoAの歌と音を感じてほしい”というコンセ プトだった“BoA THE LIVE”を終えてみて、バラードへの感情の込め方を自分的にもつかめた気がしたので、無理をいってツアー後にもう一度レコーディングさせてもらったんで す。そういう意味でも“BoA THE LIVE”は本当にすてきな経験になりましたね。


■そうだったんだ。でも、本当に“ハタチのBoAが歌うからこそ味のある曲”になったよね。バラードだけじゃなく、11曲目の『Prayer』なんて、“こんな妖艶(ようえん)なBoAは見たことなかったかも”って驚いた。

BoA:ありがとうございます! 私も『Prayer』はとても気に入ってます。ここまでファンキーな曲は珍しいですよね。またひとつ新たなBoAを見つけ出せた気がします。


■今回のアルバムでは作曲にも挑戦してるね。

BoA:はい。『no more make me sick』は初めてパソコンで作曲した曲なんですが、カッコいいダンス曲はすばらしい作曲家さんたちが作っくださっているので、私は、リズムで楽しめるよ うな曲を作ってみました。もともとミディアムテンポの曲が大好きで、いつか自分で作って歌ってみたいなっていう気持ちがあったので、今回実現できて本当に うれしかったです。難しかったけど、苦労したぶん、達成感がありましたね。


■それに、アルバムのラストを締めくくる『Gracious Days』は、“新たなスタートをきる前向きなBoA”を感じる鮮やかなナンバーだよね。すごく印象的だった。

BoA:この曲も今の私が歌うから説得力があるのかもなって思います。まだまだ経験不足なとこはたくさんあるし、知らないこともたくさんあると思うんですけど、5周年を迎えた今だからこそ、歌えた歌かなって思いますね。



■2006年はデビュー5周年だったんだよね。振り返ってみて、どう?

BoA:本当にあっという間でした。オリジナルアルバムも5枚目だし、シングルでは21枚目だし、5年間ではもちろん反省もあるし、つらいことがなかったわけじゃないけど、そんな思いや経験も、すべて自分のためになっているような気がするんですよね。


BoAさんは勉強家だよね。ここまでBoAさんを頑張らせた思いって何だったんだろう?

BoA:やっぱり歌うことが好きという思いだと思います。私はちっちゃいころから“歌手になりたい”という漠然とした思いしか持ってなかっ たんですけど、自分が今みたいになれるなんて昔は想像もしていなかったんですよ。歌手として歌い始めてからも、“あの人みたいになりたい!”っていう具体 的な目標を立てていたわけでもなかったし。
 でも、ひとつ言えることは、毎日の小さな努力が重なっていって、いつか大きなことを実現できるんだと いう気持ちを常に持って頑張ったことですね。それと、本当に私は周りのスタッフに恵まれていたことが大きかったと思います。私以上にBoAというアーティ ストを深く理解してくれていて、私の魅力が最大に生かされる楽曲や歌詞を私のために用意してくれることで、私はここまで成長してこられたと思うんです。
  ディレクターさんとはデビュー当時からの本当に古いお付き合いなので、普段から“オススメの1曲”とかいって、どっちが相手をうならせるすてきな1曲を 持ってこられるかって競い合ってオススメし合って遊んでたりするんですよ。最近はオールドR&Bがブームなんですけど、なかなか勝てないんです(笑)。そ んな何気ないやりとりも、私を成長させてくれているんだと思います。そして何よりも、私の歌を待っていてくれるファンのみなさんの応援があったからこそだ と心から感謝してます。


■本当に大人になったね。昔から落ち着いた印象はあったけど、もう“BoAちゃん”って“ちゃん”付けで呼んだら申し訳ない気持ちになってきた(笑)。

BoA:あはははは。いいですよ“BoAちゃん”で(笑)。ハタチになったからって急に変わるのもなんか変だし(笑)。でも、たしかに、昔っからあんまりキャピキャピした女の子ではなかったかもしれないですね。今もね、普段からあんまりしゃべらないんですよ。


■プライベートは暗いっていうか、静かなの?

BoA:いえ、暗くはないですよ。同じ年の人と比べると、あんまりしゃべらないほうかもってくらいで(笑)。日本でのオフはスタッフさんとお買い物に行ったりしてて、韓国では友だちとご飯食べに行ったり映画見たりしてますね。


■そういえば2006年の年明けは実家に帰って、お母さんの風邪をもらって大変だったって言ってたけど、2007年の年末年始の予定は?

BoA:そうそう、去年は母から風邪もらって大変だったんですよね、新年からいきなり病院通いで(笑)。今年はお仕事が終わったら韓国に帰 ります。でも、アルバムのプロモーションや制作があるので、長期間ゆっくり休めないかもしれないですね。でも、お休みは家族とゆっくりしたいです。


■2007年はどんな1年にしたい?

BoA:ひとりの女性としてもアーティストとしても、また一歩成長できる1年にしたいです。10代が元気なイメージで、その元気で人の心を癒やせていたなら、20代は人の痛みがわかる人になって、そんな歌で聴いてくれる人の心を癒やしていけたらいいなと思ってます。